エンジンオーバーホール

空冷エンジン

エンジンのオーバーホール時期はいつ頃なのか?

  • エンジンからカタカタと異音がする
  • フル加速するとバタバタと排気漏れのような音がする
  • エンジンオイルの消費量が多く、マフラーから白煙が出る
  • エンジンからの激しいオイル漏れがある

以上のような症状があれば、まずご相談ください。
ヘッド廻り、シリンダー等の腰上と呼ばれる部分のオーバーホールと、クランクケース内のコンロッドやクランクシャフトまで、分解するフルオーバーホールとがございます。
エンジンの状況や予算に応じてアドバイスさせていただきます。

以下は、エンジンオーバーホールの作業内容をご紹介します。

1 エンジン、ミッションを降ろす

エンジン降ろし

まず、車をリフトに載せ、オイルを抜き、エアコンコンプレッサー⇒エアクリーナーボックス⇒ブロアファン等を取り外します。センサー類、配線類、オイルライン類を外し、車体の下からミッションごとエンジンリフトに降ろします。

2 ミッション、クラッチ取り外し

クラッチ取り外し

エンジンからミッションを外し、プレッシャープレート⇒クラッチディスク⇒フライホイールを外します。
クランクシャフトのシールや、レリーズベアリング、レリーズホークも点検します。
オイル漏れやガタがあれば要交換です。

3 インテーク、マフラー、ブラファン取り外し

インテーク取り外し

インテーク⇒マフラー⇒ブロアファン⇒オルタネーターと外していきます。
このとき、フューエルラインの点検をしますが、10年以上経過したゴム類は劣化も進んでいるため、慎重に行い、劣化の激しいものは要交換です。
また、マフラーやエキゾーストマニホールドもさび付いて固着したものが多く、大変な作業です。

4 ロッカーアーム、カムチェーン、カムシャフト取り外し

エンジン単体

エンジン単体になったところで、専用ハンガーに固定します。
カムチェーンケース⇒カムハウジング廻りを取り外していきます。
チェーンやチェーンスライダー、カムシャフトを点検し、劣化の激しいものは要交換です。

5 シリンダーヘッド、シリンダー、ピストン外し

シリンダー

シリンダーヘッド、⇒シリンダー⇒ピストンと順番に外していきます。
通常腰上オーバーホールの場合、クランクケースより上部分までとなります。エンジンの状態から、腰上のみのオーバーホールか、腰下も含めたフルーオーバーホールが必要なのかを判断します。

6 シリンダースタッドボルト交換

シリンダースタッドボルト

シリンダーとヘッドを共締めしているスタッドボルトが折れていることがあります。
特に、ターボのように発熱量の多いモデルは要注意です。
NAモデルでも今後折れる可能性が高いため、当店では全て新品へ交換しております。

7 クランクケース分解

クランクケース内部

通常腰下と呼ばれるクランク部分です。
長年の使用により、ヘドロ状の残留物が堆積していることもあります。
クランクシャフトはもちろん、オイルポンプも全て脱着洗浄し、点検します。

8 クランクメタル、コンロッドメタル交換

コンロッドメタル

クランクシャフトやコンロッドのメタルベアリングも分解し、キズや劣化があれば全て交換します。

9 クランクケース組み立て

洗浄後のクランクケース

きれいに洗浄し、組みあがったクランクシャフトとコンロッドです。
できればメタル類はすべて交換するのがベストですが、点検の結果キズがなければ、ご予算に応じて再使用させていただくこともあります。

10 スルーボルトのオイル漏れ防止

耐熱液体パッキン1 耐熱液体パッキン2

クランクケースが組み上がると、クランクケース左右を貫通しているスルーボルトを液状シーリングで埋めてしまいます。
このスルーボルトは964/933の弱点であり、非常にオイル漏れが起きやすい箇所です。しかもシリンダーを外さないと修理できません。
通常このボルトは、Oリングだけでオイル漏れを防いでおりますが、当店ではOリングだけでなく、耐熱液体パッキンも使用し、より確実なオイル漏れ防止対策を行います。
(写真のオレンジ色の部分が耐熱液体パッキンで埋められた箇所です。)

11 洗浄

洗浄作業

取り外した部品は全て洗浄していきます。
オーバーホール作業時間の半分以上がこの洗浄作業に費やされます。錆びたステーや、ヒートプレートなどもできる限りきれいに仕上げます。

12 シリンダーヘッド分解、バルブガイド打ち換え

バルブガイド打ち換え作業

シリンダーヘッドはバルブ廻りを分解し、バルブ、バルブスプリング、スプリングリテーナー、バルブガイドの点検を行います。
マフラーから白煙を吹く原因の一つにバルブガイドの劣化があります。バルブガイドが摩耗することによって、バルブとのクリアランスが大きくなると、そこからシリンダー内へオイルが侵入するためです。バルブガイドの打ち換え作業は、専門の加工業者に依頼します。
カーボンの除去やバルブのあたり面の加工も同時に行いますが、これによってヘッド廻りをリフレッシュさせ、圧縮の漏れ防止やバルブのスムーズな動きを蘇らせます。

13 ピストン、シリンダー洗浄、ピストンリング交換

洗浄したピストン

カーボンがこびりついていたピストンも、洗浄してこんなにきれいになります。
マフラーから白煙を吹くもう一つの原因に、ピストンリングの劣化があります。ピストンリングの張力がなくなったり、固着したりすると、そこからシリンダー内にオイルが侵入するためです。マフラーからの白煙が気になる場合は交換したほうが確実でしょう。

14 シリンダー、ピストン組み付け

シリンダー組み付け作業

さて、いよいよ組み付けです。
ピストンをコンロッドに組み付け、ピストンリングを圧縮しながらシリンダーを差し込みます。

15 シリンダーヘッド組み付け

シリンダーヘッド組み付け作業

続いて、シリンダーヘッドを載せます。
91年式の964までは、シリンダーヘッドにガスケットが装備されていないので、液状ガスケットを塗布して組み付けます。

16 カムハウジング組み付け

カムハウジング組み付け作業

カムハウジングを載せて、カムシャフト、カムチェーン、ロッカーアーム等を組み付けます。やっとエンジンらしい形になりました。

17 オルタネーター、ブロアファン取り付け

オルタネータ取り付け作業

オルタネーター⇒ブロアファンと、カバー⇒ディストリビューターを組んでいきます。

18 マニホールド、クラッチ取り付け

クラッチ取り付け

次にインテークマニホールドとエキゾーストマニホールド、マフラーを組み付け、エンジンリフトへ降ろし、クラッチを装着します。

19 ミッション組み付け

ミッション組み付け

ミッションを元の通りに組み付けます。

20 エンジンを搭載

エンジン搭載

いよいよエンジンを車体に載せます。
エンジンを車体に固定したら、センサーやフューエルライン等を組み付け、電気配線⇒エアコンコンプレッサーを取り付けます。エンジンオイルを入れて始動!最後にエンジン調整を行って完了です。これでまた安心してお乗りいただけます。

※業者様、DIY整備などのお問い合わせはご遠慮ください。

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